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1954 FL 1200 タイミングギアバッククラッシュ





今日はUさんのパンヘッドのオーバーホール
まとめ

カムギアとピニオンギアのバッククラアッシュ調整のお話。

ハーレーでは、カムギアとピニオンギアのサイズがカラーコードで分けられ何種類も存在します。
カムギアと、ピニオンギアの大小の組み合わせで、適正なギアバッククラッシュ量を調整するようになっています。
本当は、カムギアとピニオンギアのカラーコードを同色にすることによって、適正なバッククラッシュ量になると設定されているのですが、出荷されてから何十年も経っているエンジン達なので、経年劣化もあり、クランク軸部分のラインだしや、ピニオンブッシュのライン出しを適正にやると、ピニオンシャフト、軸部とカムシャフト軸部の芯間距離が短く変わってしまうことが多いです。
というわけで、この辺を触ったことがない人が聞いても、よくわからないギアのバッククラッシュ調整について。。



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まずはカムギアとピニオンギアのギアサイズ計測。
この年式のハーレーの場合は.105”ピンゲージを使い、ギア寸法計測。
新品のアンドリュースJカムギアは70.32mm
もともと付いていたピニオンギアは、36.73mm
ダミーのピニオンシャフトにギアを取り付けて、ピニオンギアとカムギアがちゃんと回るかをチェック。
ギアがキツすぎて、回りが渋いのでギアを交換します。



















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最近では、手に入りづらくなってきた交換用のカムギアは、ノーマルとラージ、スモールがあります。
また、最近ピニオンギアもサイズがなかなか選べれるなってきました。
このパンヘッドを行っていた時は、普通に手に入りましたね。

ピニオンギアは、カラーコードイエロー36.71ミリのギア。1番小さいやつです。
カムギアも、アンドリュースのスモールタイプ70.29mmに交換。



















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鉄同士の圧入で、ハメ代0.05ミリ少々怖いです。
使い、垂直に圧入。



















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ギアの交換事が終わり、改めてエンジンに組み付け、ギアの周り振りチェック。
カムギアとピニオンギアともに、最小にしてもまだ動きが渋いので、ギアにラップ粉を塗りギアラッピング。

ギアが抵抗なく回るとこまでラッピングし、ラップ後のギア寸法は、カムギア70.29mm ピニオンギア3, 6.98mmで0.03ミリ削ったことになります。

























タイミングギア類を全て組みつけて、クランクの回りってぷりチェック。
スムーズに回るようになりました。



















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ギアのバッククラッシュ計測。
カムギアとピニオンギアのバックラッシュは0.01mm〜0.02mm(ギア同士の隙間が0.01ミリ空いている状態)
になりました。


今更になりますが、バッククラッシュとはギアの歯車と歯車の隙間のことで、ここの隙間が小さいとギアの持ちが悪くなります。タイミングギアボックスからギア鳴りがしているものは、バッククラッシュが少ないと考えられます。
また、ここの隙間が多いものは、が悪くなり、振動や音が出ます。特にカムギアの場合は、カムがタペットを持ち上げ、バルブスプリングの力によって押されて下がるという上下運動をしてることにより、常に正方向と逆方向の力がかかることなります。その逆転方向に力がかかるたびに、ギアの隙間分のギアノイズが鳴ります。これがタペット音としてヘッド周りのノイズになります。
タペット音が多い車両は、カムギアとピニオンギアの「隙間」が多いと考えられます。














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ついでに、ブリーザーギアのエンドプレー調整も行い、これでタイミングギア周りの調整は完了。


















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by sgf1906 | 2025-10-03 08:26 | 1954 FL 1200 | Comments(0)

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