1960NORTON650SS シリンダー・シリンダーヘッド分解・計測作業
2017年 07月 05日
ある日、エンジンからゴロゴロという異音が出始めたそうで、多分クランク軸受けベアリングがご臨終であろうということで、エンジンをオーバーホールしていきます。
普通にアクセス出来る4本のヘッドボルト以外にヘッド前方に隠れている3個のナットさん、後方下にあるナットさん、前方したにあるナットさん2本を取り外し、ヘッド取り外し。
ヘッドとロッカーカバー一体のノートさんのヘッドはロッカーアジャスターをユルユルにしてプッシュロッドをフリーにしおき外しますが、外すときでも面倒なのに、組み付けるときはどうなることでしょうか。
シリンダーを抜き取り、ピストンお目見え。
ピストンさんは状態よしで綺麗です。近年にボーリングをやり直したものと思われます。
でピストン抜き取り、コンロッドのガタチェック。
ドライブ側、タイミング側ともに1.3mm~1.4mmと大分ガタがきています。
ビッグエンド部で0.1mm以上ガタがあると思われます。
あれピストンにはSTDの刻印、もちろん寸法はスタンダードサイズです。
ということは、シリンダーさんはスリーブ加工されていました。
計測してみると、シリンダー側は酷い段減りはないもののピストンとのクリアランスは結構あります。もともと大きめのクリアランスをとっていたのでしょうか?
ともあれ、こいつはボーリングが必要です。
タペットさんはカムとの可動面が線状に磨耗しています。
D型になっているノートンさんのタペット。カム回転方向に対しDが縦方向?に力がかかるようになっています。円柱上のタペットと比べ半円上のものの方が減りづらいのかしら?
確かに円柱上のものは力がかかる方向の上側、下側が減り樽状になりますのでガタが出ずらいのかもしれません。
戦前シングルノートンもD型タペットがあるようなので、ノートン独特の機構なのでしょう。
しかしながら、D型の形状のため力がかかる方向のタペット径の計測は出来ず、シリンダーガイド側を計測してみたものの、ここのボアサイズのデータがありませんので、新品タペットを見比べてみます。
ロッカー周り抜き取り計測。
スピンドルがヘッドロッカー部に圧入されプレートで位置決めされています。
古いノートンさんはここの圧入がユルユルになっているものが多いらしいです。
ユルユルであれば、オイルラインもありますので、オイル漏れとともにスピンドルとヘッド側の穴とのガタが多くなっていくでしょう。
ヘッドを暖め抜き取り。EX側はよいもののIN側は手スポ。
ロッカースピンドル、ロッカーアーム計測。
スピンドルは磨耗しているものが多いので交換したほうが良いでしょう。
また、ロッカーアームもアームがある方向は磨耗しています。
このあたりは、新品スピンドルとの差異で確認します。
バルブ抜き取り計測。
バルブは頭部分が大分叩かれていますので交換。またガイドも減ってしまっていますので交換します。でガイドを抜き取りますので、ポート内(ガイド付近)のカーボンを徹底除去。
綺麗になって見えてくる。EX側のバルブシートは随分やられています。
で抜き取り工具を使い抜き取り。
IN側は問題なかったものの、EX側は抜き取りの際、きつめでありました。
抜き取ったガイドを見るとやはりEX側特にタイミング側はガイドの圧入部までオイルが行っているのがわかります。熱膨張の高いアルミヘッドに膨張率の低い鋳鉄ガイドの組み合わせでは、こうなってしまうのが宿命か・・・。
ヘッド側ガイドホールは思っていたより軽症で、軽くホーニングし問題なく、リーマー加工は無しでいけます。良かったよかった。
というわけで計測し必要なバルブガイド径選出。
ロッカースピンドルの圧入部も計測。
思っていたより変な寸法は出ていないので、こちらも新品スピンドルをあわせてみて考えます。
ここが駄目だと恐ろしい加工がまっていますから。
というわけで今日はここまで。
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奈良 純