1943WLC750 クランクスラスト&オイルポンプ
2016年 10月 19日
コンロッドビッグエンドベアリングレースのラッピング、ローラー合わせ、スモールエンドブッシュ交換が終わっている、クランクはフライホイールに随分と穴が開いていましたので、Rテックさんでバランス取り、芯だしをしてもらい、クランク組み付け。
左右それぞれフライホイールワッシャーの厚みを変え、コンロッドの中心がクランクケースの中心に来るようにしつつ、スラスト量が0.3mmになるように調整。
ここからはオイルポンプのお話。まずはフィード側のオイルポンプから。
WLのオイルポンプはフィード側とリターン側が別々に付いています。
フィード側は#1カムと連動して動きます。
WLのフィード側はローターバルブによりオイルを加圧します。
またローターバルブには遠心バルブが付いていて、低中速時と高速時のオイル量を調整しています。
この遠心バルブ(CENTRIFUGAL VALVE)41年~47年のナックルにも使われているもので、低中速時にバルブが開き、リリーフバルブ裏側に油圧をかけリリーフバルブが開きづらくし低中即時オイルをエンジンに行かします。高回転になると遠心バルブが閉じ、リリーフバルブが開きやすくなり余計なオイルをギアケース内に逃がします。
WLのオイルポンプにはリリーフバルブとチェックバルブが2箇所付いています。
リリーフバルブは圧量調整されており、プラグボルト座面から3/8”(9.5mm)にアジャスターボルトの頭が来るところにします。またポンプ下側のチェックバルブはローターバルブからのオイルを止めています。リリーフバルブ横のチェックバルブは遠心バルブからのオイルを止めています。
ローターバルブで加圧されたオイルはチェックバルブを開き、カムカバー、ピニオンシャフトを通りコンロッドビッグエンドを潤滑。
高回転時オイル圧送量が多くなるとリリーフバルブを開き余計なオイルをカムギアケースに逃がします。(クランクケース内に行かなくします。)また、リリーフバルブからカムギアケースへのバイパスラインに、プライマリーチェーンへのオイルラインがあります。
遠心バルブ(CENTRIFUGAL VALVE)は低中速字開き、リリーフバルブ裏側に油圧をかけ、リリースバルブの開きっぷりを調整しオイル量をコントロールしています。
#1カムギアを付け、フィード側オイルポンプ仮組み。
トルク管理し組み付け回りっぷりチェックし、問題なし。
リターン側オイルポンプはギア式。
オイルポンプシャフトとブリーザーギアが一体式になっっているもので、アイアンスポーツと同じ仕組み。
こちらも仮組みして、ギアの回りっぷりチェック。問題なし。
クランクケースに溜まったオイルは、ピストンダウンストローク時にケース内の負圧によりブリーザーギアを通りカムギアケース内にオイルをぶちまけ、カムギアケース内を潤滑します。
というわけで、ブリーザーギアはバルブとなっていますので、ピストンダウンストローク時にバルブが開くようにタイミングを合わせる必要があります。
タイミングホールにタイミングマークが出ている位置(クランク位置)でブリーザーギアの〇印が凹の位置になるように。
カムギアケース内に溜まったオイルはオイルスリンガー(フィルター)を通りオイルポンプへ行きタンクへリターンされます。
リターン側にドライブチェーンのチェーンオイラーがあります。
というわけでオイルポンプを組み付け、オイルを流し、回りっぷりチェック。
問題なく、オイルポンプO.Kです。
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