1938 VELOCETTE MAC 350
2012年 01月 15日
トリニティースクールでは遠方から通う生徒さんも少なくありません。
時間もお金も掛かります。しかし、そのぐらい情熱がある人じゃないと、戦前の英国車を仕上げる事はできないでしょう。
大分、完成に近づき、もうすエンジン始動です。
ベロセットの特徴の一つして、短いプッシュロッドと、縦方向に配列されるタイミングギアたちです。
ハーレーやその他の英車はカムギア、ピニオンギア、アイドラーギアが横方向に配列されるものが多く、その為、ロングストロークエンジンの旧車、OHVの場合、プッシュロッドは長くなります。
長いプッシュロッドは、しなりなどで、カムからバルブへの力の伝達が、一テンポ遅れる感じになります。(それが旧車フィーリングでもありますが)
カムギア、ピニオンギア、アイドラーギアを縦方向に配列する事によりプッシュロッドを短くして、カムからの力の伝達をよりスムースにしています。
ベロセットOHVがセミOHCと言われる所以です。
元々ギアに付いている、カムタイミングの印はどうも怪しいので実際に、分度器を付けて、計測します。
MACのカムタイミングは、
IN OPEN IN CLOSE EX OPEN EX CLOSE
50 60 70 40
相当レーシングです。
ベロセットのヘリカルギアはカムタイミングがビシッと出るので、凄く気持ちイイです。
ちなみに、カムタイミングを見るときは、タペットクリアランスを、チェッキングクリアランスで測定します。
圧縮上死点(IN、EXタペットが一番下がっているところ)
チェッキングクリアランス
IN 0.254mm EX 0.381mm
ランニングクリアランス(実際に走る時のクリアランス。)
IN 0.076mm EX 0.152mm
走るって事だけを考えて作られたようなメカニズム。
ベロセットのこの純潔さが、僕は好きです。